2012年1月11日水曜日

学習に必要な知恵はすべて学生のレポートから学んだ

大業なタイトルを掲げたが、類似タイトルの嚆矢の右掲本「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ (河出文庫) 」に敬意を表した次第。今年度、保育福祉科の1,2年生に医学一般の講義をさせていただく機会を得た。評価として、それぞれ15コマの講義を通じての感想のレポートを課した。そこから、ちょっとした学習方法のコツを見出したので、紹介したい。(とは言っても、新しいことではなく、従来から言い古されていることなのではあるが…)
● 人は時間が経つと忘却する。実際、レポートでの論述は、講義前半のことよりも後半でのことのほうが多かった。しかし、これは仕方がないことで、だからこそ忘却を遅らせるための工夫が講義に必要とされる。
● エピソード記憶は以下のように関心や自己関与の度合いでランク付けされている。 実際、下記の順で論述内容が多かった。
  1. 体験(実習、家族、自分、友人)→全体的関与 
  2. 物語(ドラマ、漫画)→感情移入 
  3. ヒトゴト(講義、ニュース)→視覚・聴覚 
面白かったのは、ニュースやテレビの健康番組の論述が全くなかったこと。基本的に病気を持たない若い世代はそのような番組を視聴する機会は少なく、たまたま見たにせよ、記憶には残らないのであろう。テレビ番組では、むしろ医療ドラマのほうが、影響を与えているようだ。
● 講義では、物語、動画などによる疑似体験の工夫が必要。若月俊一先生が著書「村で病気とたたかう」でも「巡回診療に、演劇、紙芝居、指人形、映画などをもって行く」としており、健康教育における物語の重要性を説いている。実際、講義では、授業で紹介した下の動画に関するコメントが多かった。患者の物語を聴くだけではなく、患者に物語の文法で語りかけることの研究も今後必要になってくるのかもしれない。


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