2009年12月24日木曜日

ANCA陽性肺病変の3例

今回は、呼吸器の先生からANCA陽性間質性肺炎の症例提示がありました。最近、脳内メーカーが、新型インフルエンザにノロがちょろって感じになりつつある私にとって、非常に啓蒙的な報告でありました。以下メモ風に。

【疾患との関連】
proteinase-3に対する抗体PR-3-ANCA(cytoplasmic ANCA)
  • ウェゲナー肉芽種症に特異性が高い。(報告されている感度は、34%~92%、特異度は、88%~100%、統合したデータで算出するとそれぞれ66%、98%となる。)
myeloperoxidaseに対する抗体MPO-ANCA(perinuclear ANCA)
  • 顕微鏡的多発動脈炎(MPA)
  • アレルギー性肉芽種性血管炎(Churg-Strauss症候群)
  • 顕微鏡的多発動脈炎の腎限局型と考えられる特発性壊死性半月体形成性腎炎
  • 肺胞出血や間質性肺炎と腎炎を示すいわゆる肺腎症候群
【症例提示】
  • 3例とも間質性肺炎→CRPの急上昇→Creの上昇という経過を辿っている。
  • 画像上は、GGO、蜂巣肺、硬化像…と種々の所見を呈し、特異的な所見はない。
  • したがって、間質性肺炎を認めた時点でANCAをオーダーしておくことは、予後予測に重要。
【参考資料】

2009年12月10日木曜日

外来非経口抗生物質治療のガイドライン(2004)

今回は、"Practice Guidelines for Outpatient Parenteral Antimicrobial Therapy"の抄読。
要旨は、
1. 文献学的に、OPATは種々の感染症に対して有効。
2. 治療開始前に、全般的医学的状態、感染の過程、家庭の状況の徹底した評価が必要。
3. 処方する医師は他の治療法と異なるOPATの多面性に意識的であるべき。チームワークが要求されること、コミュニケーション、モニタリング、アウトカム測定など。
4. 医師はチームにおいて固有な役割を持ち、ときには看護、薬局、社会サービスをも巻き込む。これらの職責は、診断を確定すること、治療を処方すること、適切な治療場所を決定すること、治療中の経過観察をすること、QOL全般を担保すること。
5. OPATにおける抗菌薬の選択は、入院治療の場合と異なる。一日一回投与には多くのメリットがある。副作用の可能性や一度調合されたら、抗生剤の安定性を考慮するべきだ。
6. 初回投与の際、監視下で行うことの重要性は、強調されすぎることはない。*申し訳のためのテストはしない。
7. 診察や検査での定期的経過観察は必須。使用薬剤により間隔は異なる。*CRPはフォローしない。
8. アウトカム測定は、効果やQOLを担保するために、いかなるOPATプログラムでも組み込むべき。
9. OPATを受ける小児に関しては、異なったニーズの為、別に考えるべき。
クリニックでもできる前庭機能検査、DIEテストの記載があるが、機を見て掘り下げたい。あとはOPATに関するインターネット上の情報資源を列記しておく。