今日は、研修医の先生の講義でした。特発性浮腫の症例提示後、以下について教えていただきました。
浮腫の問診
- 経過:急性か慢性か、周期的か、生理との関係
- 特徴:全身性か局所性か、起立により増悪するか
- 程度:体重の増減、pittingかnon-pittingか
- 基礎疾患の有無:心・腎・肝・内分泌疾患、悪性腫瘍、重症感染症など。
- 既往歴:乳がん・甲状腺手術、放射線療法
- 職歴:職種、姿勢、暴露物質
- アレルギー歴:食物、薬剤、化粧品、虫さされ
- 薬歴:NSAID、ステロイド、甘草、Ca拮抗薬、利尿薬
- 随伴症状:食欲、脱力など
閉経前の女性のみに生じ、20~30代に多い。体液貯留性浮腫、起立性浮腫、周期性浮腫などの異名もあるが、症状は月経周期を通じて存在し、月経前浮腫とは区別すべきである。起立により病的な体液貯留を生じ、典型的には一日を通じ1.4kg以上の体重増加を示すが、0.7kg程度しか増えないこともある。患者は、足のむくみに加え顔や手のむくみを訴えることが多い。確認の検査としては、体重日記や水負荷試験が有用だが、診断は通常問診や身体診察により浮腫を来す全身性疾患を除外したのちになされることが普通である。確認試験は、特発性浮腫の診断が濃厚な場合のみなされる。肥満やうつがこの病態と関連している可能性があり、利尿剤の濫用がよくみられる。
利尿薬抵抗性
利尿剤の作用そのものが遠位部でのNaClの再吸収率を上げ、抵抗性を獲得している。従ってサイアザイドやK保持性利尿薬の併用は理にかなっている。
参考文献
- 「浮腫のメカニズムと利尿薬」名古屋市立大学大学院医学研究科 第三内科講義資料
- Approach to leg edema of unclear etiology. J Am Board Fam Med. 2006 Mar-Apr;19(2):148-60.
- Diuretic resistance: physiology and therapeutics. Semin Nephrol. 1999 Nov;19(6):581-97.
講義後の議論で、利尿剤の濫用に関して、患者の希望に安易に答えてしまう医療者が引き金を引いていることも否めず、代替え案として、水毒の治療に使われる五苓散の処方も提案されました。甘草を含まないため偽性アルドステロン症も起こしません。この漢方薬は、感染性胃腸炎にも効果があり、昨年の旅行医学会では、飛行機頭痛への効果が報告されており、旅行者には有用な薬剤といえるかもしれません。
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