古い先生は、血液ガス分析のことを「アストラップ」と呼ぶことがある。その由来は、デンマークの医師Poul Bjørndahl Astrup (1915年8月4日 - 2000年11月30日)の名前にある。1950年代初頭、デンマークで猛威をふるったポリオに罹患した鉄の肺を装着する子供たちを多く診るなか、その動脈血がアシドーシスになるのに気づき[1]、臨床化学の領域に入る。PaCO2測定電極を開発し、1956年のRadiometer社の血液ガス分析装置の開発に貢献、その後、デンマーク最初の臨床生化学教授として、酸塩基平衡のノモグラムで有名な、Ole Siggaard-Andersenをはじめ優秀な研究者を育てた。晩年の1990年代初頭に一度来日している。
2. Mellemgaardの式
1966年発表にMellemgaardらにより発表された[2]正常人におけるAaDO2の回帰式、AaDO2=AGE×0.21+2.5 SD=7.1のことをいいます。じん肺ハンドブックでは、+3SDをF++の基準としました。つまり、F++の基準値=AGE×0.21+23.8、65歳で37.45で、一歳増えるごとに、0.21ずつ増加するというわけです。この式を知っておけば、100歳の患者さんの基準値も計算できます。
3. 静脈血ガス分析からPaCO2を推定する。
酸素飽和度が簡便に分かるようになって、血液ガス分析がどうしても必要という場面も減りつつありますが、PaCO2が知りたいが、すぐに動脈血を採取できないとき、動脈血を採取するつもりで静脈血採取になってしまったとき、どうすればいいでしょう?そんなとき、「ERの裏技 極上救急のレシピ集」で紹介されている下記の公式が役に立ちます。
PaCO2= PvCO2-6 [3]参考文献
[1] P. Astrup, H. Gotzche, F. Neukirch Laboratory investigations during treatment of patients with poliomyelitis and respiratory paralysis. The British Medical Journal, April3, 1954, 1: 780-786.
[2] Mellemgaard K. The alveolar-arterial oxygen difference: its size and components in normal man. Acta Physiol Scand. 1966 May;67(1):10-20.
[3] Can peripheral venous blood gases replace arterial blood gases in emergency department patients? CJEM. 2002 Jan;4(1):7-15.
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