2011年8月24日水曜日

家庭医のEpley手技


BPPVの症状
  • Attack:突然発作的に起き、短時間持続し、特定頭位で繰り返すめまい。
  • Blurred:回転するというよりも目がぼやけるという感じ。
  • Check Complications:難聴、耳鳴、失神、眼前暗黒感などは認めない。
BPPVの診断:Dix-Hallpike法
  1. 座位にて水平に左45°回旋する。
  2. その位置から懸垂頭位に落とし込む。
  3. 右側も同様に検査。(右側は左側の2倍の頻度らしい…)
BPPVの治療:Epley法
  1. 懸垂頭位で患側に45°頸部を捻転し維持。
  2. 懸垂頭位を保ちながら頭部を徐々に健側下に90°捻転し維持。
  3. 頸部捻転を維持しながら健側下の側臥位にして維持。
  4. 頭部を屈曲して座位にする。
言葉にすると分かりづらいが、イメージとしては頭側から患者さんを見て金庫のダイヤルと見做す。首を内側のダイヤル、肩(胴体)を外側のダイヤル、1クリック45°とすれば、まず患側に内側のダイヤルを1つ、そして反対側に2つ、次に外側のダイヤルを反対側に2つ。結果として内側のダイヤルである首は、正面から患側に3つ分移動している。そこから座位へさせるので患側と反対側のベッドサイドに腰掛けて終了である。YouTubeに多くの動画が投稿されているので、一度見ておいてください。


疑問:非専門医である家庭医がEpley手技を行った場合でも有効か?
⇒今回は、参考文献1をGATE frame(参考文献2)の方法で、Critical Appraisalを行って見ました。

参考文献

  1. Canalith repositioning maneuver for benign paroxysmal positional vertigo: randomized controlled trial in family practice. Canadian Family Physician June 2007 vol. 53 no. 6 1048-1053
  2. The GATE frame: critical appraisal with pictures. Rod Jackson University of Auckland, New Zealand.

2011年8月10日水曜日

医療コンフリクト・マネジメント

今回は、医療コンフリクト・マネジメントの学習会でした。

裁判以外での紛争解決をADR(Alternative Dispute Resolution)と称するが、弁護士主導の調停では、賠償金の折り合いは付けられても、患者側、病院側双方に心理的なわだかまりが残ってしまう。そこで、弁護士法第72条にある調停の独占業務条項への抵触を避けるため、病院職員による示談交渉という形式をとりつつ、実際には、不偏性を保ち、両者をエンパワーする医療メディエータによる対話の促進が、メディエーションである。医療メディエーション・スキルの背景には、社会構成主義、ナラティブ・アプローチ、ソーシャルワークの理論がある。「日本メディエータ協会」では、その育成に力を注ぎ、現在全国で1、561名の医療メディエータがいるとのこと。

以上の内容を概説頂いた上で、誠実に対応したが裁判に至ってしまったケース、メディエーションスタイルはとらなかったが、メディエーションスキルを駆使したケース、メディエーションスタイルをとったケースのご紹介を頂いた。