ラベル 精神科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 精神科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年7月6日土曜日

認知行動療法

うつ病の非薬物療法の一つに、認知の歪み(cognitive distortion) を正す認知行動療法がある。最近は、マインドフルネスとアクセプタンスなどと仏教の焼き直しみたいな様相を呈していますが、一世代前のデビッド・D・バーンズは、10種類の認知の歪みを挙げています。
  1. 全か無か思考(all-or-nothing thinking) よくイデオロギー闘争のスローガンなどに見られる二者択一思考である。有名なものにPatrick Henryの"Give me liberty, or give me death!"などの言葉があります。Polarized Thinking、“Black and White” Thinking、二分法思考(dichotomous thinking)、悉無律などとも呼ばれます。しかし、実際の世の中は割り切れず、ミスチルのGIFTじゃないけど「白と黒のその間に無限の色が広がってる」わけです。
  2. 過度の一般化(over-generalization) "Never twice without thrice."(2度あることは3度ある)とは言いますが、1,2度失敗したからって、自分は失敗しかしないんだと一般化する必要はありません。エジソンのように“I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.”と開き直ることが肝要です。
  3. 心のフィルター(mental filter) "Is the glass half empty or half full?"(コップは半分入ってるのか半分からなのか?)という有名な質問があります。同じ状態でも、人によって見方が変わってくるものです。
  4. 拡大解釈と過小評価(magnification and minimization) "Make a mountain out of a molehill"(もぐら塚から山を作る)という言葉があります。大袈裟に言う事の比喩ですが、自分について短所を拡大解釈したり、長所を過小評価したりは精神衛生上良く有りません。むしろ、Illusory superiority、above average effect、superiority bias、leniency error、sense of relative superiority、the primus inter pares effect、the Lake Wobegon effectなど色々な名称がありますが、世の中の大半の人が平均以上に優秀と思っているそうで、そのくらい自信過剰なくらいが、調度よいのかもしれません。
  5. 感情的決め付け(emotional reasoning) 感じたことを事実と思ってしまうこと。
  6. マイナス化思考(disqualifying the positive) 自分にとってよいことも裏を勘ぐってマイナスのことに考えてしまうこと。天邪鬼な皮肉屋さんてところでしょうか。 
  7. 結論の飛躍(jumping to conclusions)相手のことを読み過ぎたり(mind reading) 未来のことを予測(the fortune teller error) したりして、それを事実と思い込み、空回りすること。 
  8. すべき思考(should statements)物事をするときに、「~すべき」、「~しなければならない」という強迫観念に似た切迫感や焦燥感に駆られてしまうこと。Albert Ellisは"masturbation"に擬えて"musturbation"と呼んだ。その程度を和らげて、「~したらまし」といった具合に解釈するのがましで、さらには「~したい」と外部強制的でない内面的な動因の高まりへの置き換えです。 
  9. レッテル貼り(labeling and mislabeling) シェークスピアの「ハムレット」に"Frailty, thy name is woman."(弱き者、汝の名は女なり)という言葉がありますが、自分で自分のことを負け犬、負け組、落伍者などのレッテルで自分を括ってしまうこと。
  10. 個人化(personalization)  "Remorse is lust's dessert."(自責は欲望の次)という諺の言うとおり、通常は、食欲、睡眠欲、性欲など基本的な欲求が満たされないと、他人に対する思いやりや自己反省などの余裕はないのが普通です。しかし、大切な人を失うなどのストレス下では無用な自責の念に苛まされることがあります。この過度の自責を個人化と言うそうです。
と書いていて、うつ病の方は基本的に無力な自意識過剰状態にあるのかもしれないと思いました。社会における"one of them"感の喪失と言い換えてもいいかもしれません。そして、自己に執着して、意識上の人間の数 n が少なくなると、正規分布的な考え方が二項分布的になってしまうのも仕方が無いかもしれません。しかし、これは病気の原因なのか、それとも結果なのか難しいところです。老化により世間とのチャンネルが減ることや痛みにより「今、ここ」に繋ぎ止められることが、うつの引き金になるのももっともなことです。そして、認知行動療法が、無我を謳う禅宗に近づいていくのも納得が行くのです。

2013年7月1日月曜日

プライマリ・ケア医のためのうつ病診療講座

シオノギ製薬(4507)のMRさんが持って来てくれていた「プライマリ・ケア医のためのうつ病診療講座」を本日視聴。箇条書きでメモ。

2011年11月10日木曜日

プライマリケアにおける精神科 (PIPC®)

総論


  • プライマリ・ケア医の患者の30%以上が精神疾患に罹患し、少なくとも5%がうつ病である。
  • うつ病診療、自殺防止のゲートキーパーはプライマリ・ケア医である。
  • 焦点をあわせないと精神疾患はみつからない。
  • プライマリ・ケア医だからこそ発見できることも多い。
  • MUSとは何らかの身体疾患が存在するかと思わせる症状が 認められるが、適切な診察や検査を行っても、その原因となる 疾患が見出せない病像」のことである。
  • MUSはしばしば精神疾患を診断するための「入り口」になる。
  • 身体科医は身体疾患に対しては『仮説→検証型』の診療を行う。
  • しかし、精神疾患に関しては『仮説→検証型』の診療をうまく適用できない。
  • PIPCを導入することで精神疾患に『仮説→検証型』の診療システムを適用できるようになる。
  • DSMとは米国精神医学会が定めた『精神障害の診断と分類の手引き』である。
  • 多軸診断と操作的診断が特徴である。
  • DSM-IVをプライマリ・ケア医の日常診療に使うことはかなり難しい。


診断


  • フォーマットに沿って話を聞くことで効率よく問診することが可能である。
  • 診療に不必要な長い話をうまくコントロールすることが重要である。
  • 背景問診とは患者の背景と個別の事情をとらえるための問診である。
  • 背景問診を行うことで患者と医師の信頼関係を創ることができる。
  • MAPSOシステムとは身体科で遭遇する頻度が高い精神疾患をまとめたものである。
  • MAPSOシステムでは身体科で遭遇する精神疾患の80%が対応可能である。
  • 気分障害にはうつ病、双極性障害、気分変調性障害が含まれる。
  • うつ病と双極性障害は異なる疾患であるので注意が必要である。
  • 気分障害の問診は身体症状から始めるとスムーズに入れる。
  • 希死念慮と躁エピソード、軽躁エピソードのチェックを忘れない。
  • 気分障害は非常に頻度が高く、うつ病との併存も多い。
  • 全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、PTSD、社会不安障害などが含まれる。
  • Psychosisは未成年や若年成人を中心に思いの外多い。
  • Psychosisはこちらから訊いてみないとわからない。


MAPSO 問診シナリオ
 ■ 背景問診
【主訴】これは最初に訊いてはいけません。問診表などで確認すること 【既往歴】 「今までに、かかった内科や外科などの病気を教えていただけますか」
【心療既往歴】 「これまでに心療内科、精神科に通院したことはありますか」 「どんな薬を飲んでいましたか」 「薬の効果は身体にあっていましたか」
【家族心療歴】 「ご家族の中で、心療内科、精神科に受診されたことがある方はいらっしゃいますか」
【職業】 「お仕事は何をなさっていますか」 「具体的にどんな仕事ですか?営業?設計?販売?詳しく教えてください」 「職場の人間関係はどうですか」 「仕事でストレスを感じますか」 (自営業なら) 「立ち入って伺いますが、事業は順調ですか」
【家族構成】 「同居している家族構成を教えていただけますか」 「ご家族のご職業を教えていただけますか」 「ご家族の人間関係はどうですか」
【プライベート】 「彼氏はいますか」 「年齢は何歳で、何をしている人ですか」 「彼氏いない歴は何年ですか」 「彼氏とはうまくいっていますか」
【服薬】 「現在どのようなお薬を飲まれていますか」
【飲酒】 「お酒は飲みますか」 「どのくらい飲まれますか」
【喫煙】 「たばこは吸いますか」 「どのくらい吸いますか」
 ■ 心理コンディション(MAPSO)
 ―うつ症状−
〈不眠〉 「寝つきはどうですか」 「途中で目が覚めたりしますか」⇒(はいの場合) 「またすぐ眠れますか」 「朝早く目が覚めたりしますか」 「朝起きた時によく寝た気がしますか」
〈倦怠感〉 「体がだるく感じたり、疲れやすかったりしますか」
〈集中力の低下〉 「なかなか物事に集中できなくなっている、ということがありますか」
〈判断力の低下〉 「判断力が落ちていますか」 「普段なら問題なく決められることが、なかなか決められなくなっていますか」
〈苛立ち〉 「イライラしますか」
〈自責感〉 「よく自分を責めたりしますか」
〈体重減少〉 「体重が減りましたか」 「食べてもおいしくないですか」
〈抑うつ気分〉 (以下のどれかひとつを尋ねてもよい) 「気持ちが沈み込んだり、滅入ったり、憂うつになったりすることがありますか」 「悲しくなったり、落ち込んだりすることがありますか」 「気づくと涙が出ているとかありますか」 「 (ほーっとため息をついて) ・・・ってなることはありますか」
〈喜びの消失〉 「何をしても楽しくなくなっていませんか」
〈希死念慮〉 (上から順番に聞いて、答えが いいえ になったところで終了) 「死んでしまった楽だろうなあーと思ったりしますか」 「死ぬ方法について考えますか」 「遺書を書きましたか」 「ずーっと死ぬことばかり考えていますか」 「実際に死のうとしていますか」 「自分でそれらを止められそうにないですか」
 −躁エピソード− 「ハイテンション!になったことはありますか」 「自分が大きく爽快に感じられて、どんどんアイデアがわいてきて、すっごくキレやすくなって(易怒性) 、 ずーっとしゃべりまくってることってありますか」 「眠る必要性がないように感じたことはありますか」 「気持ちが突っ走るように感じたことはありますか」 
−軽躁エピソード− 「程度はそれほどではなくても、普段の落ち込んでいる状態と明らかに違う状態になったことはありますか」 「その状態は、1日とか2日とか、何日か続きましたか」
 −不安障害−
〈GAD〉 「あなたは心配症ですか」
〈PD〉 「心臓がドキドキして、もう駄目だ、死ぬかもしれない!狂ってしまうかもしれない!と思ったことはありますか」 ⇒(ある場合) 「またなったらどうしようと考えてどうしようもなくなることはありますか」 (予期不安)
〈OCD〉 「ガスの元栓、家の鍵の確認に時間がかかってしまったり、確認のために、また戻って見てしまうようなことがあり ますか」 「確認したり、手を洗ったり、数えたりが気になますか」
〈PTSD〉 「フラッシュバックするようなトラウマ体験がありますか」
〈SAD〉 「あなたはあがり症ですか」
 −精神病症状−
〈考想化声〉 「あなたの考えが、頭の中で声になって響く感じはありますか」
〈被注察感〉 「見知らぬ皆から監視されるように見られているように感じますか」
〈考想伝播〉「向こうから来た知らない人に、あなたの考えが見透かされたような感じがしたことはありますか」
治療


  • 適切に会話するだけでうつ病の改善が期待できる。
  • うつ病では休養がとても重要である。
  • 職場の指導・教育・啓蒙も重要である。
  • 啓蒙書やパンフレットも有用である。
  • 抗うつ薬の第一選択薬はSSRI/SNRIである。
  • 抗不安薬には抗うつ作用はない。
  • SSRI/SNRIは少量から開始し漸増する。
  • SSRI/SNRIを開始するときには患者によく説明することが重要である。
  • SSRI/SNRIは寛解が得られるまで増量する。
  • SSRI/SNRIは寛解が得られても最低6∼9ヶ月は投与量を変えずに継続投与する。
  • SSRI/SNRIはゆっくり減量・中止する。
  • 抗不安薬は「今にここにある不安」の軽減には大変有効だが、不安の予防効果はない。
  • 抗不安薬の使用に際しては、依存性と耐性に注意する必要がある。
  • ドグマチールは最大量50mg/dayまで。
  • 不眠にはテトラミド®、デジレル®、レスリン®、リフレックス®、レメロン®。
  • 自殺について尋ねることはタブーではない。
  • 自殺リスクが高いと判断したら、まずは自殺しない約束をする。
  • 精神科専門医へ紹介すべき症例もある。
  • 精神科専門医へ紹介するときは見捨てられ不安などに注意する。
リンク