2011年9月28日水曜日
海外旅行後の発熱
今回は、前に研修医の先生から受けていた「海外旅行後に発熱」した患者さんをどう診ればいいかという質問に、答える意味で、NEJMの2002年のレビュー記事"Illness after International Travel"をもとにお話ししました。私も旅行医学会の会員ではありますが、実際の診療の経験はありません。さらに、この分野は覚えることが多く、しかもその国の事情など流動的ですので、熱帯病の代表マラリアに関心を持ち、ネットから必要な情報の入手先を知っておいて頂ければ、良いように思います。海外旅行後の発熱
2010年9月29日水曜日
韓国の医療
年表形式での韓国医療事情の変遷
*原文は、"편도절제술은 감기를 예방한다"で正確な翻訳は「扁桃摘出術は風邪を予防する」。
1962 住民登録法公布→住民登録番号導入
1980 家庭医療学会創設
1989 国民皆保健制度の実施
1997 KoreaMed開始→オープンアクセスの開始
1997 IMF危機→医療の合理化の加速
2000 医療保険の一本化、医薬分業現在は、下記の変化が継続中
- IT化:4レスホスピタル(ペーパーレス、フィルムレス、チャートレス、スリップレス)
- 大規模化:ソウル峨山病院(2670床)、延世大学セブランス病院(2050床)、三星ソウル病院(1933床)、ソウル聖母病院(2050床)、ソウル大学病院(1600床)…いずれも1,000人を越える医師を擁する。
- 国際化: JCI取得病院(仁荷大学病院、延世大学セブランス病院、ソウル聖母病院、高麗大学安岩病院)
- 産業化: 済州ヘルスケアタウン(済州島西帰浦市に医療と健康の一大複合施設を建設。)
- 戦略的医療ツーリズム市場への参入:トップを走るタイ、それを追う韓国(年間100万人→2020年200万人目標)
そして、2012年5月24〜27日 韓国 済州島にてWONCA開催予定
実際に韓国で病気になったときどうすればよいか?
- ちょっと調子が悪い。→약(薬)の看板を探し、薬を購入。
- 医師の診察を受けたい。→ホテルのフロントに相談するか、2008年に始まった日本語による応急処置、疾病相談、病院案内の電話サービスを利用する。電話番号1339、年中無休で24時間対応している。
- ブレインアタックやハートアタックの恐れがあり、死の恐怖を感じたとき→救急車の要請、電話番号119
- 事前に、ツアーやクレジットカード付帯の保険内容を確認しておくことが大切。
- 現地で健康トラブルに見舞われたときは、緊急性、重症度に応じて対応、緊急性があるのに、日本語対応や帰国に拘っていると、ゴールデンタイムを逸してしまう。
- 診療の診断書、領収書をもらっておくことが重要。帰国後、診断書に翻訳を添えて国民健康保険で海外医療費払い戻し申請をするのに必要。
韓国情報収集のために
ハングル文字さえ克服すれば、韓国語は以下の理由で日本人にとって一番簡単な外国語とされる。
J Korean Acad Fam Med 2010 Jul; 31(07): 512~522
ハングル文字さえ克服すれば、韓国語は以下の理由で日本人にとって一番簡単な外国語とされる。
- 語彙に漢語や外来語が多い。例)구급차(救急車)、앰뷸런스(ambulance)
- 語順が日本語と同じ。例)이렇게(このように) 두통이(頭痛が) 심한(ひどい) 것은(ことは) 태어나고(生まれて) 처음으로다(初めてだ).
- 文法が日本語に似ている。従って論文などを機械翻訳の精度が高い。例)韓国家庭医療学会誌に掲載された論文の要約をエキサイト翻訳で訳したもの。
J Korean Acad Fam Med 2010 Jul; 31(07): 512~522
【英語からの翻訳】
バックグラウンド: 時代、セックス、教育状態、経済状態、この調査による寒さに関する概念について労働者の定期健康診断で行われた基礎データを集めるために。方法: 1つの会社で働いている1,056人の労働者が、この6月1日から2006年7月7日までの調査のために含まれていました。 私たちそれらから自己によって報告されたアンケートを得ました。 アンケートの内容は、寒さの労働者の一般的特色と、原因と管理でした。 私たちは年令、性別、教育州、および経済状態のそばで寒さに関する概念の真の認識比を分析しました。結果: セックスと経済状態によると、真の認識比は異なっていませんでした。 時代、'ウイルス'、'細菌'に従って'寒い天気'は50年代の上で寒さの原因に関して最も低いです。 ‘自己制限疾患'、‘インフルエンザワクチン接種が寒さを予防する、'‘胸への衝撃は痰を取り除くために役立つ'、 ‘暖かい蒸気を吸入するのは減少鼻閉塞に役立つ'‘洗濯手は寒さを予防するために役立つ'、‘領域の多くの人々群衆が冷たさに影響されやすいこと'が50年代の上で寒さの管理に関して最も低いです。 教育状態によると、'ウイルス'、'食物'は50年代の上で最も高かったです。 ‘薬は速く回復する'‘注射療法は速く回復する'‘扁桃腺切除術は寒さを予防すること'を除いて、上の大学教育で他のものが最も高かったです。教育に従って、年齢層、40年代と'ウイルス'における'ウイルス'だけ、食物で'上記では、50年代は最も高かったです'と述べてください。上の大学教育で20年代で'インフルエンザワクチン接種は寒さを予防する'40年代、'薬は速く回復する''注射療法は速く回復するところ'で'注射療法は速く回復すること'が最も低かったです。結論: 時代、教育レベルは寒さに関する概念の真の認識比にかなり関連しました。 したがって、私たちは教育しなければなりませんでした。概念の低認識比。キーワード: 寒さ。 認識比。 年をとってください。 教育
【韓国語からの翻訳】
研究背景:人口学的特性にともなう風邪に対する理解(利害)程度を把握してみて比重を置かなければならない患者教育基礎資料を得ようと施行した。方法:2006年6月1日から7月7日まで一介医療センターで検診を受ける1,178人を対象にした。 回収された質問用紙中分析が可能だった1,056部を分析した。 質問用紙は対象者らの一般的特性と風邪の原因、治療に関する内容であり性別、年齢、教育水準、経済水準にともなう風邪に対する理解(利害)程度を分析した。結果:性別、所得水準にともなう風邪概念の正しい認識率の差はなかった。 年齢帯にともなう風邪の原因に対する質問らで‘ウイルス’、‘細菌’、‘寒い天気’全50代以上で正しい認識率は最も低かったし治療に対する質問らで‘自然に治ることができる疾患だ’、‘インフルエンザ予防接種は風邪を予防する’、‘片道節制酒殷鑑期を予防する’*、‘胸をたたいてくれるのは痰除去に役に立つ’、‘熱い蒸気を吸い込むのは鼻詰まり症状に役に立つ’、‘手洗われる風邪予防に役に立つ’、‘人が多いところは風邪が伝染しやすい'等では全50代以上で低かった。 教育水準にともなう分類では原因では‘はい’と答えた比率が差がなかった‘細菌’、‘寒い天気’、治療では‘インフルエンザ予防接種は風邪を予防する’、‘暖かい水の摂取は痰除去に役に立つ’、‘人が多いところは風邪が伝染しやすい’という質問らを除いた残り質問らで正しい認識率が大学校卒業以上で高かった。 年齢帯別に分けた後教育水準別に分析した時は原因では40代では‘ウイルス’だけ50代以上では‘ウイルス’、‘食べ物’で大学校卒業以上で高かったし20代では‘インフルエンザ予防接種は風邪を予防する’、40代では‘注射を合えば早く治る’だけが50代以上では‘薬を飲んでこそはやくより良い’、‘注射を打てば早く治る’らだけで大学校卒業以上で低かった。結論:正しい認識率が差がある人口学的特性は年齢、教育水準であったし正しい認識率が低い概念らに対してより重点的に教育しなければならない。中心単語:風邪;認識率;年齢;教育水準
2010年4月28日水曜日
アウトドアでのサバイバル ー自然の中での生き残り術ー
第9回日本旅行医学会参加の報告です。本学会がモデル学会としているWilderness Medical Societyでベスト指導者賞を受賞されている元米国空軍サバイバルトレーニング教官Peter Kummerfeldt先生の講演がありました。先生は、OutdoorSafeというホームページを開設されています。
講演の中では、準備の重要性と臨機応変な危機対応力、生き抜くという強い意志、楽観的な考え方を強調されておりました。特に最後のものは「夜と霧」の著者ヴィクトール・フランクルも、逆境においてこそユーモアが必要というようなことを書いていたように記憶する。
準備においては、予想外の一夜を戸外で過ごさなければならないかもという思考実験が重要。何もアドベンチャー旅行でなくとも、都内で直下型の地震が起こり、交通機関が麻痺してしまったとか、田舎道を走行中、吹雪で立ち往生してしまうとかのケースが想定できる。ありそうなシナリオについてイメージトレーニングしておくとよい。
実際に必要になるスキルは、シェルター(保温、乾燥、防風)、火を起こす、救難信号を送る、水の確保、外傷の手当てなどで、繰り返し訓練しておく必要がある。例えば演者の先生のサイトで通信販売しているサバイバルキットには、以下のものが入っている。
- コーデュラポウチ
- プラスチック・オレンジ・ポンチョ
- マグネシウム・ファイアスターター
- 防水マッチケース
- シグナルミラー
- ホイッスル
- フラッギング・テープ
ファイアスターターやシグナルミラーなどは使うのにちょっとしたコツがいるので、子供にもその使い方を教えておく必要がある。それぞれ100円ライターやCDの裏などで代用してもよいかもしれない。ポンチョがオレンジなのはオレンジ色が一番発見されやすい色であるからとのこと。
子供は、はぐれると父母に叱られると思って探そうとしてますます困難に嵌ってしまうケースが多いので、普段から迷子になってしまったら、動かないこと、知らない人にでも声をかけて救いを求めることを教えておく必要がある。
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旅行医学
2009年11月26日木曜日
過活動膀胱診断ガイドライン
今回はOAB(OverActive Bladder)のガイドラインの勉強会。資料は下記の本。
大鵬薬品のOAB.jpに上手くまとまっているので、レクチャーして頂いた先生には申し訳ないが、レジメはこれでおしまい。
大鵬薬品のOAB.jpに上手くまとまっているので、レクチャーして頂いた先生には申し訳ないが、レジメはこれでおしまい。
2009年9月9日水曜日
高所医学の概要
【キーワード】 馴化(acclimation)、AMS、HAPE、HACE、ダイアモックス、ガモウバッグ
【高所環境】
高所の分類
分類
a.急性高山病(AMS; Acute Mountain Sickness):新しい高度に到達した際に起こる症状。頭痛、及び以下の症状のうち少なくとも1つを伴う。
c.高地肺水腫(HAPE; High Altitude Pulmonary Edema)
以下のうち少なくとも2つの症状がある。
【高所環境】
高所の分類
- Extreme altitude >5,500: エベレスト山頂 8,848m
- Very high altitude 3,500-5,500: 富士山頂 3,776m この高度では、急な登山で高山病の症状はほぼ必発、10人に1人位は重症化。
- Moderate altitude 2,000-3,500: 南米諸国の首都(ボリビアのLa Paz 3,200m、エクアドルのQuito 2,800m、コロンビアのBogota 2,660mなど)、富士山八合目 3,100m、旭岳 2,290m この高度では、急な登山で4、5人に1人で高山病の症状が出る。
- High altitude >1,500
馴化が起こらなかった場合、平地で95mmHg くらいだった酸素分圧が、3000m を越すと半分以下に、5000m で3 分の1、エベレスト頂上ではマイナスになってしまいます。きちんと馴化すると、大体平地と比較して、富士山で半分、エベレストBC で1/3、エベレスト頂上で1/4 になっています。日常臨床で慢性呼吸不全の患者さんがいかに低酸素に強いかは、経験があると思う。「寒さ」
100m 登ると気温は0.65℃低下する。4000m 登れば26℃下がる。また風は寒さを増幅する。T=t-4×√v(リンケの体感温度)。実際、先日の大雪山系遭難の死亡者はみな凍死であった。人は、体温が奪われると、全身の生化学反応が落ちる。筋肉は硬直し協調性を失う。心臓の刺激伝達は失調し心筋の収縮力は落ち心拍出量が低下する。寒冷に伴う利尿による循環血液量の低下もあいまって組織とくに脳への酸素供給が阻害され、すべての脳の神経活動の低下がおこる。「乾燥・脱水」
飽和水蒸気圧は、温度で決まる。20 ゚C の飽和水蒸気圧は17mmHg である。ところが-20 ゚C での飽和水蒸気圧は1mmHg。空気はたった1mmHg 分の水分しか含めないのである。相対的湿度はどうであれ、高所の空気は常に乾いている。高所ではだれもが呼吸が大きく早くなる。高度5500m でのほんの軽い運動でも、呼吸によって肺から失われる水分は一時間あたり200ml と推定される。発汗による水分喪失も乾燥した空気のもとでは大きくなる。急激な水分喪失による脱水は血液を濃縮させ、血液を固まり易くする。高所での脱水では地上での場合ほど強い口渇感をもたらすことがないので、登山者は意識して水分摂取につとめる必要がある。尿量を十分(1.5L/日)保つことも重要なので、高所登山者は一日最低3~4Lの水分の摂取が必要である。「日射・紫外線・宇宙線」
空気の層が薄いこと、空気中の水蒸気量が少ないこと、いずれも太陽光線の空気中での散乱量を減らす。標高5790m の晴れた日の場合では、人体が吸収する日射量は海抜0mに届く日射量に比べ50%増加となっていた(Ward,1975)。とくに短波長の紫外線領域に影響が強くでやすい。地表面の反射も重要な要素である。通常では地表面の反射率は20%に満たないが、高所の雪や氷河では90%に達することがある。皮膚・目が障害を受けやすい。光学的遮蔽物(帽子やサングラス)は必携である。同じ理由で電離放射線被爆も増えると考えられている。【高山病】
分類
a.急性高山病(AMS; Acute Mountain Sickness):新しい高度に到達した際に起こる症状。頭痛、及び以下の症状のうち少なくとも1つを伴う。
- 消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐)
- 倦怠感または虚脱感
- めまいまたはもうろう感
- 睡眠障害
c.高地肺水腫(HAPE; High Altitude Pulmonary Edema)
以下のうち少なくとも2つの症状がある。
- 安静時呼吸困難
- 咳
- 虚脱感
- 運動能力低下
- 胸部圧迫感または充満感。
- 少なくとも一肺野でのラ音または笛声音
- 中心性チアノーゼ
- 頻呼吸
- 頻脈。
酸素飽和度モニター、症状チェックシートなどで客観的なフォローをすることが大切です。
軽い頭痛程度なら、アセトアミノフェンやブルフェンなどの鎮痛剤を服用する程度で済みます。注意して行動を継続します。頭痛に他の症状が加わりかつ酸素飽和度SpO2 が各高度での平均値をかなり下回るようでしたらダイアモックス(250mg)を1日朝夕1錠づつ服用すると効果的です。ダイアモックスは脳の呼吸中枢を刺激する作用があります。症状が消えSpO2 が改善しても1-2 日間は継続して服薬します。ゆっくりした日程の場合でも、高山病の既往のある方、レスキュー活動の場合や飛行機やヘリで一気に4000m 近くに到達する場合などやむを得ずゆっくりした日程が取れない場合は、まだ低い高度にいる出発当日の朝からダイアモックスを予防的に服薬しても構いません。脱水を防ぐために適切な摂水は大切です。血栓予防の少量のアスピリン服用も考えます。症状があるうちは新しく高度を稼ぐことは禁物、休養を兼ねて停滞です。
急性の高山病が悪化して脳浮腫や肺水腫に進んでしまった場合は、早急に下に降ろさなければなりません。下降手段(ヘリコプターなど)を待っている間に手をこまねいていてはいけません。大流量酸素を吸入させ、ガモウバッグなどの携帯型加圧バッグを使用します。脳浮腫にはデキサメサゾン、肺水腫にはニフェジピンが有効です。「三浦豪太さん、奇跡の生還だった」
参考図書
- 旅行医学質問箱
日本旅行医学会編
- Travel Medicine
Jay S. Keystone MD
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