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2013年7月12日金曜日

急性胃腸炎!と思ったら、SFTS?

NEJMの4月21日号で報告されたSFTSの国内死亡例が13例になったというニュースがあったので、まとめてみた。(まとめている途中で、山口県感染症情報センターのページにまとまっているのを発見…orz)

まとめてみての感想は、もし初診で来たら、まず見逃すだろうなということ。対策としては、50代以上の有熱胃腸炎例では、補液の際に血小板をチェックすることぐらいしか打つ手はないかな。
  1. 2012年秋、山口県の女性、発熱、嘔吐、下痢などの症状を訴え、約1週間後に死亡。 
  2. 2012年秋、愛媛県の成人男性に発熱、食欲低下、下痢が出現した。5日目に死亡。
  3. 2012年秋、宮崎県の成人男性に頭痛、発熱、下痢が出現した。その後脱力感と食欲低下が出現し、発症4日目にウイルス性腸炎の診断で入院となった。入院5日目に死亡。
  4. 2012年夏、広島県の成人男性が死亡。
  5. 2005年秋、長崎県の60歳代男性が死亡。
  6. 2013年4月初旬、鹿児島県の成人女性が死亡。
  7. 2012年6月、佐賀県の60代男性が死亡。
  8. 2013年4月上旬、山口県の60代女性が発熱、意識障害等で入院。約1週間で死亡。
  9. 2012年11月、高知県の60代男性が発熱と全身倦怠感により医療機関を受診。その後、全身症状が悪化し入院治療を行い、9日後に死亡。
  10. 2013年5月24日、愛媛県の90代女性が発熱や吐き気を訴え、医療機関を受診し、6月上旬に死亡。
  11. 2013年5月、高知県の70代男性が死亡。
  12. 2013年5月25日、熊本県天草市の86歳女性に食欲不振などが発症。26日に受診。27日に入院したが6月4日に死亡。
  13. 2013年7月上旬、岡山県の80代女性が死亡。
マダニ媒介性感染症には、他にも日本紅斑熱、Q熱、ライム病、ダニ媒介性脳炎などがあり、山に入るときは皮膚を露出しない、襟口をタオルで覆うなどの予防対策、それでも食われたときは虫体を毟らず医療機関を受診、さらに運悪く、その後体調を崩した時も早めに受診することを広く知らせる必要もある。

医療機関では、ダニツイスターを準備しておくと、除去は容易である。

2013年6月30日日曜日

かぜと"かぜ"のように見える重症疾患

しばらく放ってあった「“かぜ”と“かぜ”のように見える重症疾患/ケアネットDVD 」のDVDを観ました。メモと感想。

  • 次の文献は必読:症例とQ&Aで学ぶかぜ症候群の診療―ガイドラインをめぐって―“かぜ”症候群の病型と鑑別疾患 著者:田坂佳千 (田坂内科小児科医院) 資料名:今月の治療 巻:13 号:12 ページ:1217-1221 発行年:2006年01月23日
  • 風邪は基本的に除外診断だが、除外すべき疾患が稀なこと、プライマリのセッティングでは疾患が熟していないことに診断の困難性がある。
  • 患者さん自身にいつもの風邪とどう違うか尋ねる。
  • 熱のみの所見で、安易に抗菌薬処方やラベリングをしない。(安易に風邪とは診断せずに、Acute Undifferentiated Feverとでもしておく。AUFには、Wiedersehenがつきもの…)
  • Centor基準:Fever, no Cough, Anterior Lymphadenopathy, Tonsilitis (FouCAuLT)→3点以上で迅速検査陽性か4点以上でアモキシリン(伝染性単核球症が除外出来れば…)
  • 咽頭痛のRed Flag:嚥下障害、開口障害、Tripod position
  • 喉頭軟線撮影:読影は、vallecula signに注意。(参照:Test Your Skill In Reading Pediatric Lateral Necks Radiology Cases in Pediatric Emergency Medicine
  • 現時点では、プロカルシトニンは迅速で結果が出ないので、有用性は限られる。
端折ったメモなので、私とコンテキストを共有する方にしか役立たないかも。非常にオーガナイズされた講演で、お薦めです。もう少し身体所見について踏み込んで頂ければ死角はないかと。でも、やはり、「さっきから熱が出ました」という方や「さっき1回吐きました」という患者さんが多いセッティングでは限界があります…orz 

2013年6月25日火曜日

ワクチンについて

右掲本では、予防接種に関し、丸々一章を割いて詳しく説明している。恥ずかしながら、莢膜多糖体の免疫原性は2歳未満で弱いことなど、はじめて知った。発達免疫学について教科書を読み直さなければ…他にも、効果や副反応にはじまり、スケジュールがずれたときの対応、保存方法など痒いところに手が届いた記述があるので参照して欲しい。

ここでは、本当に基本的なところを確認しておく。まず、スケジュールに関しては、下記のリンクが有用。


さらに、何が生ワクチンということも大切。次のワクチンまで空けなければならない期間や接種回数が異なってくるからだ。空ける期間に関しては、不活化ワクチンの場合1週間なのに対し、生ワクチンの場合4週間となる。生ワクチンの語呂合わせ例を示す。
憖っか(なまじっか)な風水マシン欠格ポリを追う。
生・耳下・風・水・麻疹・結核・ポリオ・黄
参照:2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン

2011年11月23日水曜日

実地疫学の味方 - EZR on R Commander

NEJMの2011年11月10日号に「2011年の欧州における腸管出血性大腸菌感染事件」におけるドイツの実地疫学の報告が掲載された。(Robert Koch Institutの最終報告はこちら)その中で原因食材の同定のためマッチドケースコントロール研究が行われ、解析には条件付きロジスティック回帰分析が用いられている。補遺によると、解析にはRが使われたようだ。そこで解析を検証してみようと考えたが、生データが入手出来ない。

そこで、代わりに1996年のデンマーク・フュン県でのネズミチフス菌による食中毒のアウトブレイク1のデータがEpi packageにあるので、それを読み込んで、この解析法を追体験してみることにした。

しかし、あまり多用しない統計解析方法で、リファレンスを参照しつつ、コンソールにコマンドを打ち込むのは、手間隙がかかる。そんなとき役に立つのが、R Commanderをベースに自治医科大学さいたま医療センター血液科が開発した"EZR on R Commander"である。今回はこれを用いることとする。以下に、EZR on R Commanderがインストールしてあることを前提に解析の手順を図示する。

1.準備として、コンソールでEpiパッケージをインストール、ロードして、Rコマンダーを起動する。そして、パッケージに含まれるデータを読み込む。

2.パッケージ名"Epi"とデータセット名"S.typh"を選択

3.統計解析からマッチドペア解析⇒条件付ロジスティック解析を選択

3.目的変数"case"、説明変数"beef, egg, ..."、マッチドペア"set"の選択

4.plant7(7番プラント製造の肉を2週間以内に食べた場合)のオッズ比が有意に高いことが判明する。

蛇足だが、現在公開中の映画「コンテイジョン」では、リアリティを追求し、CDCなどを取材し、実地疫学者の仕事を描いたり、SEIRモデルやBasic reproduction numberの話が出てきたりするらしい。ぜひ、見ておきたい作品。



1) Molbak K and Hald T: Salmonella Typhimurium outbreak in late summer 1996. A Case-control study. (In Danish: Salmonella typhimurium udbrud paa Fyn sensommeren 1996. En case-kontrol undersogelse.) Ugeskrift for Laeger., 159(36):5372-7, 1997.

2011年9月28日水曜日

海外旅行後の発熱

今回は、前に研修医の先生から受けていた「海外旅行後に発熱」した患者さんをどう診ればいいかという質問に、答える意味で、NEJMの2002年のレビュー記事"Illness after International Travel"をもとにお話ししました。私も旅行医学会の会員ではありますが、実際の診療の経験はありません。さらに、この分野は覚えることが多く、しかもその国の事情など流動的ですので、熱帯病の代表マラリアに関心を持ち、ネットから必要な情報の入手先を知っておいて頂ければ、良いように思います。海外旅行後の発熱

2011年4月27日水曜日

伝染性単核球症


【はじめに】
 前回の抗菌薬のまとめでも指摘されたが、アモキシシリンやアンピシリンの投与では95%以上、その他のβラクタム剤の投与で40-60%で麻疹様皮疹を引き起こすとされる[1]。一般外来で9%を占めるとされる咽頭炎のうち、A群連鎖球菌による咽頭炎は小児例の15-30%、成人例の10%を占める[1]。一方、伝染性単核球症は咽頭炎を呈する成人の2%を占めるに過ぎない[2]。一般外来で通常年間1-4例を数える程度である[2]。A群連鎖球菌感染が確認されれば、リウマチ熱予防のために抗菌薬の投与が必要になる。伝染性単核球症患者のうち3-30%が溶連菌感染を合併している[2]と言われ、EBV感染は独立した評価が必要になってくる。


【疫学】
  • 感染は主に唾液を介してであり、俗称「キス病」と言われる所以である。
  • 血清学的調査では、成人の95%が感染しており、半数は1歳から5歳の間に不顕性感染または軽微な症状でEBVに初感染し、残りの半数は十代で感染し、伝染性単核球症を発病する。
  • 発症には、性差はなく、季節差もないとされる[1],[2]が、夏期に多いという報告[3]もある。私見では、夏期に多いというのは頷ける。
  • 潜伏期は4-8週と推定されている。
  • 10-19歳で6-8/1,000の発症率。
  • 10歳未満、30歳以上では、1/1,000未満の発症率。
  • 入隊あるいは大学入学した青年層で11-48/1,000の発症率。
【診断】
  • 古典的三徴は、咽頭炎、発熱、リンパ節腫脹で、その80%はEBV感染が占める。他にHHV6(<10%)、CMV(5-7%)、Toxoplasma gondii(<3%)、HIV(<1%)感染でも同様の症状があり、Monospot検査の偽陽性も報告されている[2]ので、妊婦では各感染の除外が必要である。[1]
  • Monospot(ヘテロフィル抗体検査)では、発症1週までは25%、2週までは5-10%、3週までは5%程度偽陰性となり、12歳以下では50-75%が偽陰性となる。一旦陽性になると1年以上陽性が継続することがある。[1]
  • 10~30歳の患者さんで咽頭痛、倦怠感、口蓋の点状出血、後頸部・耳後・腋窩・鼠径部リンパ節腫大を呈する場合は伝染性単核球症を疑うべきである(Grade B)。[2]
  • 20%以上の異型リンパ球増多あるいは50%以上のリンパ球増多があり、10%以上の異型リンパ球増多があれば、伝染性単核球症を示唆する(Grade C)[2]
  • 私見では、リンパ球/白血球数比が0.35以上で感度90%、特異度100%という報告もある[4]が、かなり眉唾。
  • 触診上の脾腫は、感度7%、特異度99%である。
  • 入院した伝染性単核球症例では、超音波上、脾腫は100%、肝肥大は50%に認めたという報告がある。[2]
  • トランスアミナーゼの上昇の感度は50%程度である。
  • VCA抗体IgMは感度、特異度ともに高いが、保険点数230点、2-3日を要し、スポーツ選手など早くに白黒つけなければならない患者に初回での検査が推奨されている。EBNA-IgG陽性なら既感染を示唆する。
  • 有名なHoagland基準(リンパ球50%以上、異型リンパ球10%以上、発熱、咽頭炎、リンパ節腫脹あり、抗体検査陽性)は特異度は高いが、感度は50%程度である。[2]
【治療】
  • 基本的には対症療法を行う。熱や筋肉痛に対しては、NSAIDかアセトアミノフェン、咽頭痛に対しては、トローチ、スプレー、2%キシロカインでの含嗽。
  • 伝染性単核球症の治療には、ステロイド、アシクロビル、抗ヒスタミン薬のルーチンの投与は薦められない(Grade B)[2]
  • ステロイドは、呼吸苦時や咽頭浮腫が強い時には有用かもしれない(Grade C)[2]
患者さんへの説明
  • 安静は回復を遅らせるという古い報告もあり、なるべく通常の生活を指示する。[2]
  • 倦怠感、筋肉痛、眠気が急性感染が治癒したあとも数カ月持続するかもしれない(Grade B)[2](疲労感は13%で、眠気は9%で6ヶ月持続する。)
  • 伝染性単核球症の患者さんは症状出現時から少なくとも4週間、症状が消失するまで接触や衝突のあるスポーツに参加するべきではない(Grade C)[2]
  • 大多数の成人が抗体を持っているので、特別な感染防御策は必要ない。
【Clinical Pearl】
  • 別名、腺熱。熱のある患者さんには、リンパ腺の触診は必須。
  • 時間さえあれば、超音波検査は有益。
【参考文献】
[1] Infectious Mononucleosis N Engl J Med 2010; 362:1993-2000 May 27, 2010  
[2] Epstein-Barr Virus Infectious Mononucleosis Am Fam Physician. 2004 Oct 1;70(7):1279-1287. 
[3] Clinical and laboratory presentation of EBV positive infectious mononucleosis in young adults. Epidemiol Infect. 2003 August; 131(1): 683–689.  
[4] Lymphocyte–White Blood Cell Count Ratio A Quickly Available Screening Tool to Differentiate Acute Purulent Tonsillitis From Glandular Fever Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;133(1):61-64.

2011年4月15日金曜日

抗菌薬のまとめ


今回は、研修医の先生に抗菌薬の使い方を講義していただいた。

ペニシリン系の分類

  1. PCG(点滴:注射用ペニシリンGカリウム、内服薬:バイシリンGカリウム)
  2. アミノペニシリン(点滴:ビクシリン、内服薬:パセトシン、アモリン)→細菌性と確定した急性咽頭炎、対症療法で治らない急性中耳炎、対症療法で治らない急性副鼻腔炎、肺炎球菌による軽症肺炎、梅毒(プロベネシド併用)
  3. 黄色ブドウ球菌に効くペニシリン(日本にない)
  4. 緑膿菌用ペニシリン(点滴:プランジン)
  5. ベータラクタマーゼ阻害薬入りペニシリン(点滴:ピシリバクタ、スルバクシン、内服薬:オーグメンチン)→憩室炎など腹部感染症、動物咬傷、アモキシシリン難治例

セファロスポリン系の分類(腸球菌とリステリアには効かない!)

  1. 黄色ブドウ球菌やレンサ球菌に主に使える「オレセファ」(点滴:セファメジン、タイセゾリン、内服薬:ケフポリン)→SSTI
  2. ペニシリン耐性の肺炎球菌、多くのグラム陰性菌をカバーし、市中肺炎や尿路感染症に使い勝手がよい「ハニセファ」(点滴:セフトリアキソン、ロゼクラート)
  3. 嫌気性菌をカバーし、腹部骨盤系の感染症に使いやすい「ケセファ」(点滴:セフメタゾール、内服薬:セフジニル、メイアクト) →顔面の蜂窩織炎、原因不明の市中肺炎
  4. 多くのグラム陰性菌に加え、緑膿菌に効果のある「リョクセファ」(点滴:モベンゾシン)
その他の抗菌薬

  • マクロライド→異型肺炎、百日咳、STD、猫ひっかき病、ピロリ菌除菌
  • ST合剤→膀胱炎、オレセファで治らないSSTI、PCP予防
  • ドキシサイクリン→市中肺炎、STD、ツツガムシ病、梅毒
  • ニューキノロンは、他剤との相互作用あり、結核の見逃しにつながる恐れがあるので、可及的に外来では使用しない。
    私が研修医だったころは、モダシンは、ばい菌を「一網打尽」にするなんて信じてましたから、最近の研修医は非常に優秀です。

    2011年3月21日月曜日

    公園の河童

     前回のSEAで出てきた「κ統計値(Cohen's kappa)」について掘り下げてみました。

    κ統計値の意義と計算法:
     インフルエンザを多く診てきて、咽頭後壁に出来る上咽頭から縦に襞状にカーテンのように降りてくるリンパ濾胞の腫大が所見として特異性が高い印象を持っていました。文献検索をしてみましたが、そのような文献は見つけることができず、プチリサーチをしてみた結果が、下記tableです。

    迅速検査陽性
     迅速検査陰性
     計
    咽頭後壁襞状リンパ濾胞あり
    3
    1
    4
    咽頭後壁襞状リンパ濾胞なし
    2
    4
    6
    5
    5
    10
     迅速検査をGolden Standardとすると、咽頭後壁襞状リンパ濾胞の検査特性は、感度=3/5=0.6、特異度=4/5=0.8となります。これは、迅速検査がある程度正しい場合に、咽頭所見の妥当性(validity)、確度(accuracy)、つまり的中の度合いを示しています。[1]しかし実際には、迅速検査自体が、そんなにあてになる検査ではないので、せいぜいで検査結果の信頼性(reliability)、精度(precision)、つまりブレない度合いを評価するほうが良いと思われます。
     実際の計算は、判断の一致率をPo,偶然の一致率をPeとすると、以下の式で表される。[2]
    κ統計値=(Po-Pe)/(1-Pe)
    例のように、カテゴリー数が陽性と陰性というふうに2つの場合、以下のように比較的簡単に筆算でも計算することができます。
    Po=実際の一致率=(3+4)/10=0.7
    陽性結果が偶然一致する確率=4/10*5/10=0.2
    陰性結果が偶然一致する確率=6/10*5/10=0.3
    Pe=結果が偶然一致する確率=0.2+0.3=0.5
    κ値=(0.7-0.5)/(1-0.5)=0.4
     カテゴリー数が多く計算が面倒な場合には、Rなどの統計ソフトを使うのが便利です。fmsbパッケージを使った例の計算の場合のスクリプトを示します。fmsbパッケージは、上掲書で使われた有用な関数をまとめたものです。
    > install.packages("fmsb") #fmsbパッケージをインストールします
    --- このセッションで使うために、CRANのミラーサイトを選んでください ---
    URL 'http://cran.md.tsukuba.ac.jp/bin/macosx/leopard/contrib/2.12/fmsb_0.2.tgz' を試しています
    Content type 'application/x-gzip' length 78762 bytes (76 Kb)
    開かれた URL
    ==================================================
    downloaded 76 Kb
    ダウンロードされたパッケージは、以下にあります /var/folders/cb/cbprP5nfG7Ciei1Q9q4QaU+++TI/-Tmp-//RtmpyRYuFO/downloaded_packages
    > library(fmsb) #fmsbパッケージの読み込み
    > Kappa.test(matrix(c(3,1,2,4),2,2,byrow=T)) #
    $Result
    Estimate Cohen's kappa statistics and test the null hypothesis
    that the extent of agreement is same as random (kappa=0)
    data: matrix(c(3, 1, 2, 4), 2, 2, byrow = T)
    Z = 1.2649, p-value = 0.1030
    95 percent confidence interval:
    -0.1680515 0.9680515
    sample estimates:
    [1] 0.4
    $Judgement
    [1] "Fair agreement"
    >
    Rを使うと、カテゴリー数が多くなっても計算できること、95%信頼区間まで計算してくれること、Landis and Koch[3]の基準による判定までしてくれるというメリットがあります。

    κ統計値の応用:
     κ統計値は前回のSEAでのように身体所見の信頼性を検討する文献などで用いられることが多いのですが、今回は先日完結したドラマERにトリビュートして、ドイツの医師会誌"Deutsche Ärzteblatta"の国際版に発表された救急外来でのトリアージシステムを比較検討した文献[4]を紹介します。以下に見るように、ESIの基準が信頼性が高いようです。その理由は、"ESI Handbook"の図2-1のアルゴリズムを見ると一目瞭然なのですが、「KISSの原則」に則っているということがあるようです。
    Manchester Triage Scale (MTS)
    • 成人患者における4つの解析 (n = 50〜167)で、κ = 0.31〜0.62
    Australasian Triage Scale (ATS)
    • 成人患者における6つの解析 (n = 20〜3,650)で、κ = 0.25〜0.56
    Canadian Triage and Acuity Scale (CTAS)
    • 成人患者における8つの解析 (n = 50〜32,261)で、κ = 0.68〜0.89
    • 小児患者における4つの解析 (n = 54〜1,618)で、κ = 0.51〜0.72
    Emergency Severity Index (ESI)
    • 成人患者における12の解析(n = 202〜3,172)で、κ = 0.46〜0.91
    • 16歳未満の小児患者における1つの解析(n = 150)で、κ = 0.82
    参考文献
    [3] Landis JR, Koch GG. The measurement of observeragreement for categorical data. Biometrics 1977; 33: 159-74.
    [4] Dtsch Arztebl Int. 2010 December; 107(50): 892–898. Modern Triage in the Emergency Department

    2010年6月23日水曜日

    抗MRSA薬の適正使用について


    今回は、薬剤師さんから抗MRSA薬の治療薬物モニタリング(TDM)の講義がありました。
    TDMには2つの意義がある。
    1. 菌を減少させるのに有効な濃度に達しているかを確認すること(offensive TDM)
    2. 副作用を招くような濃度で推移してないかを確認すること(defensive TDM)
    バンコマイシン(VCM)
    • 血中濃度測定:投与開始3日目以降の投与開始前と投与終了30分後
    • 治療濃度:ピーク値 60 μg/ml以下、トラフ値 (投与直前) 5~15 μg/ml
    • 副作用:腎障害、聴力障害
    • 用法・用量:40kg以上の成人には1回1gで1日2回投与する。40kg未満の成人または65歳以上の患者には1日1回1gを投与する。1時間以上かけて点滴静注しないとRedneck症候群が起こることがある。
    テイコプラニン(TEIC)(タゴシッド®)
    • 血中濃度測定:投与開始3日目以降の投与開始前
    • 治療濃度:トラフ値 (投与直前) 10~20μg/mL
    • 副作用:肝障害
    • 用法・用量:成人には初日は初日負荷量として1回400mgを1日2回30分で点滴静注、2日目以降は維持量として1回400mg を1日1回30分で点滴静注する。
    アルベカシン(ABK)(ハベカシン®)
    • 血中濃度測定:投与開始3日目以降の投与開始前と投与終了30分後
    • 治療濃度:ピーク値 9~20 μg/mL、トラフ値 (投与直前) 2 μg/mL以下
    • 副作用:腎障害、聴力障害
    • 用法・用量:成人には1日1回150~200mgを30分で点滴静注する。
    リネゾリド(LZD)(ザイボックス®)
    • TDMは不要とされる。
    • 副作用:骨髄抑制、視神経障害
    • 用法・用量:1日1200mgを2回に分け投与。
    参考資料

    2009年12月10日木曜日

    外来非経口抗生物質治療のガイドライン(2004)

    今回は、"Practice Guidelines for Outpatient Parenteral Antimicrobial Therapy"の抄読。
    要旨は、
    1. 文献学的に、OPATは種々の感染症に対して有効。
    2. 治療開始前に、全般的医学的状態、感染の過程、家庭の状況の徹底した評価が必要。
    3. 処方する医師は他の治療法と異なるOPATの多面性に意識的であるべき。チームワークが要求されること、コミュニケーション、モニタリング、アウトカム測定など。
    4. 医師はチームにおいて固有な役割を持ち、ときには看護、薬局、社会サービスをも巻き込む。これらの職責は、診断を確定すること、治療を処方すること、適切な治療場所を決定すること、治療中の経過観察をすること、QOL全般を担保すること。
    5. OPATにおける抗菌薬の選択は、入院治療の場合と異なる。一日一回投与には多くのメリットがある。副作用の可能性や一度調合されたら、抗生剤の安定性を考慮するべきだ。
    6. 初回投与の際、監視下で行うことの重要性は、強調されすぎることはない。*申し訳のためのテストはしない。
    7. 診察や検査での定期的経過観察は必須。使用薬剤により間隔は異なる。*CRPはフォローしない。
    8. アウトカム測定は、効果やQOLを担保するために、いかなるOPATプログラムでも組み込むべき。
    9. OPATを受ける小児に関しては、異なったニーズの為、別に考えるべき。
    クリニックでもできる前庭機能検査、DIEテストの記載があるが、機を見て掘り下げたい。あとはOPATに関するインターネット上の情報資源を列記しておく。

    2009年8月26日水曜日

    新型インフルエンザとその対策について

    全日本民医連学習会での国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則氏の講演の伝達勉強会でした。要点を箇条書きに記します。
    • 飛沫感染のため1~2mの濃厚接触により感染が成立する。
    • 医療従事者では、双方マスクなしでの会話、食事をともにすることがレベルIの濃厚接触
    • 臨床症状では、季節型インフルエンザとの区別はできない。
    • 潜伏期間は、2~4日間
    • 迅速検査は相当偽陰性が多い。(NEJM Volume 361:728-729 August 13, 2009 Number 7)
    • 函館の場合定点医療機関11箇所、医療機関数の半分にインフルエンザ患者が受信すると仮定すると、定点当たり報告数40で、実患者は、5,500人いることになる。
    • 全粒子型ワクチンは、早く作れ、効果は高いが、Guillain Barre症候群の副作用がある。
    • スプリット型ワクチンは、Guillain Barre症候群の副作用はないが、ブースター効果はあるものの、プライミング効果に乏しく、製造に手間暇がかかる。
    …と書いてきて、静岡がんセンターの大曲貴夫先生の感染症ブログに素晴らしいレビューが投稿されていることを見つけてしまいました。
     社会防衛的な視点での個人的な考えなのですが、新型、季節性によらずインフルエンザ流行期には、発熱フローチャートでタミフルを処方を受けられ、同時に1週間の社会的活動の自粛が受け入れられ、それによる経済的・社会的な損失が生じないような環境の構築が急務だと思います。

    2009年7月29日水曜日

    ペットに気をつける

    某病院医師夫妻のオウム病の症例報告があった。

     発熱、全身検体、頭痛、下痢があり、時節は新型インフルエンザがマスコミを賑わせ、北海道には上陸していなかった頃。北海道第一号の汚名を着たくない患者の一心で、飼っていたインコに思い当たり、「オウム病」の名前が患者の口に上る。確かに、抗体価検査をすると、有意上昇。血清検査では、ご夫婦ともに肝機能障害を認め、肺CT上はair bronchogramを伴う硬化像を呈していた。MINO+CTRXで治療開始、奥様の方は一時血小板低下もありステロイドを併用し、順調に治癒。

     感染症法における四類感染症で、保健所に届けたところ、当該保健所には初めての報告とのこと。インコの便をPCR検査したところChlamydophila psittaciを検出したが、殺処分(獣医学では淘汰)は免れ、Standard Precautionを指導されたとのこと。

     シックコンタクト、ペット、旅行に関し、問診することの重要性を再認識させてくれる症例報告でした。特に高齢者という潜在的易感染者が旅行し、ペットを飼う時代になってくると、その重要性は強調され過ぎることはないでしょう。そして、事物のネットワークが密になってきた現代においては、いっそう医者の「博覧強記」が要求されるようになってきている。同時に、患者の語りの重要性が示唆される症例でもあった。